31. X-MON3からX-MON4への監視設定の移行マニュアル
31.1. 概要
本書はX-MON3からX-MON4に監視設定を移行するためのマニュアルです。
移行の大まかな手順として、X-MON3で監視設定をエクスポートするスクリプトを実行し、監視設定のエクスポートファイルを取得した後に、インストール直後のX-MON4で監視設定をインポートする流れになります。
本手順書は、Linuxの操作や知識があることを前提に作成しています。
また、Linuxでのコマンド操作は管理者権限が付与されているアカウントで実行してください。
31.2. 事前確認
31.2.1. 移行環境の確認
移行する際にはサーバのOSとX-MONのバージョンが以下の条件である必要があります。
- 移行元のX-MON3サーバ
OS : RHEL系のメジャーバージョンが7か8である必要があります。
X-MON : バージョンが3.16.1以上である必要があります。
- 移行先のX-MON4サーバ
OS : RHEL系のメジャーバージョンが9である必要があります。
X-MON : バージョンが4.1.0以上である必要があります。
31.2.2. 監視設定移行で移行されないデータ
データベースの構成変更などにより、X-MON3系からX-MON4系へ移行できないデータは以下の通りです。
過去の監視・グラフデータ
各種ログ類
また、エクスポートスクリプトでは移行できないため、別途手動で移行が必要なデータは以下の通りです。
分散監視設定
SSH認証鍵
X-MON全体設定のX-MON URL
31.3. X-MON3の監視設定のエクスポート
まず移行に必要な情報を取得するために、移行元のX-MON3で設定情報のエクスポートスクリプトを実行し、エクスポートファイルを取得します。
31.3.1. エクスポートスクリプトの取得
エクスポートスクリプトは X-MONサポートサイト からダウンロードすることができます。
エクスポートスクリプトは2種類あり、X-MONサーバのOSによりダウンロード対象が異なります。
- OSがRHEL系のメジャーバージョン7の場合
サポートサイトからEL7用を操作端末にダウンロードします。
- OSがRHEL系のメジャーバージョン8の場合
サポートサイトからEL8用を操作端末にダウンロードします。
ダウンロードしたファイルはzip形式で圧縮されていますので、解凍してください。
解凍したフォルダの中の以下のファイルがエクスポートスクリプトになります。
xmon4export |
31.3.2. エクスポートスクリプトの設置・実行
31.3.2.1. エクスポートスクリプトの配置
ダウンロードしたエクスポートスクリプトを移行元のX-MON3に配置します。
配置するディレクトリに制限はないため、環境に合わせてエクスポートスクリプトを設置してください。
設置後は移行元のX-MON3にSSHでログインし、エクスポートスクリプトを設置したディレクトリに移動します。
移動後、エクスポートスクリプトに実行権限を付与するために以下のコマンドを実行します。
chmod +x ./xmon4export |
実行後にエクスポートスクリプトに実行権限が付与されていることを確認します。
ls -la ./xmon4export |
31.3.2.2. エクスポートスクリプトの実行
エクスポートスクリプトの配置が完了しましたら、設定のエクスポートを行います。
エクスポート実行時にX-MON上でバックアップが動作している・承認待ちデータが存在している・X-MONの再起動案内が出ている場合などは実行できませんのでご注意ください。
エクスポート実行中は稼働中の監視に影響はございません。
以下のコマンドを実行することでエクスポート処理が実行されます。
./xmon4export |
エクスポート処理が完了すると、エクスポートスクリプトを設置したディレクトリに以下の形式でエクスポートファイルが保存されます。
エクスポートファイルの yyyymmddhhmmss はスクリプト実行日時が表示されます。
xmon3_export_data_yyyymmddhhmmss |
保存されたエクスポートファイルを拡張子などを変更せずに操作端末に保存をして、移行元のX-MON3での移行作業は終了です。
31.4. X-MON4に監視設定のインポート
次に、移行先のX-MON4で移行元のX-MON3から作成したエクスポートファイルをインポートします。
31.4.1. X-MON4のインストール
移行先のX-MON4ではバージョン4.1.0以上がインストールされている必要があります。
インストールされていない場合は、X-MONサポートサイトよりソフトのダウンロードとインストールを行ってください。
31.4.2. ライセンスの適用
設定移行を行う前に、X-MON4にライセンスを適用しておく必要があります。
ライセンスは移行元のX-MON3で登録していたホスト数以上のノード数のライセンスを登録する必要があります。
31.4.3. エクスポートファイルのアップロード
ライセンスが登録できたら、システム情報画面の上部にインポート画面へのリンクが表示されるので、クリックしてインポート画面を表示します。
インポート画面のリンクは初期セットアップウィザード実行後には表示されませんのでご注意ください。
インポートの画面が表示されたら、エクスポートファイルのアップロードを行います。
[エクスポートファイルを選択してアップロード]をクリックし、エクスポートファイルを選択します。
エクスポートファイルを選択すると、アップロードが行われます。
アップロードが完了するとアップロードしたエクスポートファイルが表示されるようになります。
31.4.4. インポートの実行
エクスポートファイルのアップロードが完了したら、監視設定のインポートを行っていきます。
アップロードしたエクスポートファイルの操作の[インポート]をクリックすることで監視設定の移行が開始されます。
インポート実行中は以下のようにメンテナンス画面に切り替わり、操作を受け付けなくなりますのでご注意ください。
インポートが終了するまではしばらくお待ちください。
31.4.5. インポート完了後の監視実行とエスカレーションの設定
インポートが完了すると以下の画面に切り替わります。
X-MON再起動後に「監視チェックを開始するか」と、「エスカレーションを有効化するか」を設定できます。
X-MON3で監視を継続していたり、インポートされた設定を確認したうえで監視やエスカレーションを開始したい場合は「無効」と設定してください。
また、X-MON3とX-MON4のどちらでも監視やエスカレーションを有効にしている状態では、エスカレーションが二重に発行される可能性がありますので、再起動を実行する前に 監視やエスカレーションの移行タイミングについて を確認することをおすすめします。
各種設定後に[X-MON再起動]をクリックすることで、X-MONが再起動され監視設定の移行が完了します。
31.4.6. 一部の監視設定の手動移行について
以下機能をご使用の方は、お手数をおかけしますが設定の手動移行をお願いいたします。
31.4.6.1. 初期登録の監視サービスの編集・削除
X-MON4で変更が入った初期サービスの設定変更と削除を行います。
- 設定変更を行うサービス
- ホスト:X-MON サービス:XMON_CHECK_pgsql
バージョン変更に伴い「プロセス名」を[postgres]から[postmaster]に変更します。
- 削除を行うサービス
- ホスト:X-MON サービス:XMON_CHECK_rrdcached
X-MON4でRRD廃止に伴いサービスを削除します。
- ホスト:X-MON サービス:XMON_CHECK_nsca
X-MON4でNSCA廃止に伴いサービスを削除します。
31.4.6.2. 分散監視設定
X-MON4では分散監視設定の登録方法が変更されています。
受信側X-MONでは、分散監視の有効化と分散監視に必要な認証トークンを取得する必要がございます。
送信側X-MONでは、受信側X-MONで作成した認証トークンを入力する必要がございます。また、X-MON間がSSL通信をしている(URLが https:// となる)場合は「親X-MON URL」を更新する必要がございます。
詳しい設定方法は、本マニュアルの 分散監視マニュアル をご確認ください。
31.4.6.3. 独自プラグイン管理・エスカレーションコマンド一覧
X-MON3でお客様が独自に作成・登録した監視プラグインやエスカレーションコマンドについては、X-MON4サーバのOS RHEL9系で実行可能なスクリプトに差し替える必要がございます。
31.4.6.4. エスカレーションコマンド設定・監視プラグイン設定
X-MON3でお客様が独自に作成・登録したエスカレーションコマンド設定や監視プラグイン設定で、以下の置換前のマクロ文字を外部のチャットサービスなどにホストIDやサービスIDを表示するために使用している場合、置換後のマクロに差し替える必要がございます。
マクロ項目 |
置換前 |
置換後 |
---|---|---|
ホストID |
$HOSTNAME$ |
$HOSTDISPLAYNAME$ |
サービスID |
$SERVICEDESC$ |
$SERVICEDISPLAYNAME$ |
31.4.6.5. SSH認証鍵の差し替え
監視元の環境が更新されますので、以下の監視プラグインを利用した監視が登録されている場合は、監視対象サーバにてSSH認証鍵の更新または追加が必要です。
X-MON4の [システム情報] 画面からRSA公開鍵を入手して再設置してください。
ディレクトリ監視
Webコンテンツ改ざん監視(SSH)
31.4.6.6. Twilio連携設定
Twilioの連携を行う画面のアクセスに必要な[X-MON URL]は移行されませんので、以下から入力し直してください。
[管理者メニュー] – [その他の設定] の[X-MON全体設定]から[X-MON URL]を入力してください。
31.4.6.7. アイコン管理
X-MON3のプリセットアイコン画像が登録されていたアイコンは、X-MON4のプリセットアイコン画像に上書きされます。
移行元のX-MON3でプリセットアイコン画像を別の画像で差し替えていた場合は、再度X-MON4でも差し替えを行ってください。
31.5. その他
31.5.1. 監視やエスカレーションの移行タイミングについて
X-MON3で監視とエスカレーションを継続している状態で、X-MON4へ監視設定のインポート直後に監視とエスカレーションを有効にして再起動を行うと、2つの環境からエスカレーションが実行されてしまう可能性がございます。
こちらを防ぐために、X-MON4で監視設定のインポートが完了したタイミングでは、エスカレーションを無効にして再起動を行うことをお勧めします。
監視結果がX-MON4とX-MON3で特に問題なく取得できていることが確認できた場合に、X-MON3のエスカレーションを無効にして、X-MON4のエスカレーションを有効にすることで2つのエスカレーションが届いてしまうことを防ぐことができます。
31.5.2. エクスポートに失敗した場合
エクスポートに失敗した場合、エラー結果が表示されます。
エラー結果に対応方法が記載されているため、それを確認して再度実行してください。
[異常が発生しました。お手数ですがX-MONサポートにお問い合わせください。]と表示された場合は、一度X-MONサポートチームにお問い合わせください。
31.5.3. インポートに失敗した場合
インポート処理に失敗した場合、以下2つの表示に分類されます。
31.5.3.1. インポート画面に戻されて、エラーが表示される場合
インポート画面に戻されてエラーが表示された場合、アップロードしたエクスポートファイルに不備があることを意味します。
エクスポート処理で何らかのファイルが欠落しているか、エクスポートファイルを展開してファイルの差し替えや削除を行うとエラーになるため、再度移行元のX-MON3でエクスポート処理を実施してください。
31.5.3.2. インポートエラー画面が表示される場合
以下のインポートエラー画面が表示される場合、インポート処理実行時に何らかのエラーが起こっていることを意味します。
この場合は一度、X-MONサポートチームにお問い合わせをお願いいたします。
31.5.4. 移行先で監視が取得できない・エスカレーションが実行されていない
移行元では監視の取得やエスカレーションが正常に動作していたが、移行先では動作していない状態である場合はまず、以下の確認をお願いいたします。
31.5.4.1. 監視・エスカレーションが動作しているかの確認
インポート完了画面で監視の実行やエスカレーションの実行を無効にしている場合は動作いたしませんので、[監視メニュー]の[プロセス情報]から各種監視(アクティブチェック・パッシブチェック)とエスカレーションが有効になっているかどうかを確認してください。
31.5.4.2. 手動での監視設定項目の移行
手動で監視設定を移行しなければならないものがいくつかございます。
こちらの手動での監視設定の移行が必要な場合は対応をお願いいたします。
手動での監視設定の移行は以下に記載されています。
31.5.4.3. 監視設定項目の確認
監視・エスカレーションのプロセス確認や手動での監視設定項目が確認でき問題がない場合は、移行元のX-MON3と移行先のX-MON4で監視設定項目に差異が無いかを確認します。
監視設定に差異が存在していた場合はX-MONサポートチームにお問い合わせをお願いいたします。